2017年5月15日月曜日

AFとミラーレスとレンズマウント 規格の話1

カメラな話をしましょう。(新天地は、生涯で数百万円をカメラとレンズに突っ込んだカメラマニアです。S社でカメラを開発してる人を驚かせた事があります。「そんなのまで持ってるの?」って。)

一眼レフやミラーレスカメラは、レンズ交換が出来るのが売りです。いろんなレンズ、いろんなカメラを組み合わせることで幅広い撮影シーンに対応するのです。
狭い場所ですべてを写したいなら広角レンズ。スポーツなど遠くからの撮影をするときは超望遠レンズ。ものすごくくらいところでは大口径のレンズが必要でしょうし、例えば街角にでて撮影するなら小型のカメラや小型のレンズが有効でしょう。花などを拡大するときは、接近した時にもっとも性能が良くなる「マクロ」レンズというのを使います。


このレンズ交換のときにレンズとカメラを繋ぐ部分や規格のことを「レンズマウント」といいます。
写真はキャノンEFマウント(とその派生規格のEF-Sマウント)。
レンズはカメラの前面部とレンズの後端部を「カチ」っとはめあわせて使う(交換する)。


古くはライカが作ったライカMマウントに始まり、ニコンのFマウント、キャノンのEFマウント、ソニーのAマウントやEマウント、パナソニックなどのマイクロフォーサーズマウントなどが有名です。

それぞれのマウントにはそれぞれだけの互換性があり、例えばニコンのFマウントのレンズはキャノンのEFレンズマウントのカメラで使うことは出来ません。逆もまた然り。(いまは改造とかあるけど一般的ではないので今回は省略)

しかし同じマウントのレンズとカメラならば(一部の例外を除いて)使いまわすことが出来ます。

例えばEOS1とEOS5というキャノンのカメラ(EFマウントのカメラ)を持っていれば、EFレンズをそれぞれのカメラに付け替えてくみ合わせて使える。たくさんレンズを買い揃えて、カメラが古くなれば、カメラだけを同じEFマウントのカメラに買い換えることで、今までのレンズをそのまま活かして行くことが出来ます。
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さて

80年台後半、一眼レフカメラにオートフォーカス(自動でピントを合わせてくれる)機能が登場します(ミノルタα7700)。
当時一眼レフカメラ3強であった残りの2社、ニコン(首位)とキャノン(二位)も慌てて追随することになりました。

しかし、ここで2社は違ったアプローチを取ることになります。

ニコンは従来からあるニコンFマウント(の形状)を継承。その規格の上位互換の仕組みを作ることで、新しいAF対応のカメラでも、古くからあるFマウントのレンズを装着することを可能にしました。
もちろん、その場合はオートフォーカスが使えませんが、プロカメラマンなど多くのレンズを所有する人からは歓迎されました。もともとマニュアルでピントを合わせてきたのですから、必ずしもAFが使えなくても仕事はできるし、と。

またニコンは完全な電子接点化を避けた。オートフォーカスなど、レンズ部分を動かす動力を機械的にカメラボディからレンズに伝導する仕組みを残した。
レンズそれぞれにモーターを内蔵するより、カメラ本体にモーターを内蔵し、レンズマウントに継手部分を持たしてそこからレンズに駆動力を伝達してレンズを動かそうと。

一方、キャノンは新しいオートフォーカスの一眼レフを展開するにあたって、当時の「FD」マウント規格を捨てて、全く新しい「EF」マウントを開発、採用してきたのだ。古い規格のままでは新しい時代には対応できない。思い切って新しいマウントを採用して、AF(オートフォーカス)時代を勝とうと言うわけ。非常に大きな決断だった。(EFマウントの登場は1987年)
新しい規格を採用することで、従来からのレンズが使えなくなるということは、それまでのユーザーを切り捨てることでもある。当然ユーザーからの反発も声も大きかった。


しかしキャノンは
1レンズマウントの口径を大きくすることでより明るい、より高性能なレンズを開発しやすくなる
2マウントの接点をすべて電子化し、AFや絞りの変更を機械的にではなく電子的に行う(駆動はそれぞれレンズ内のモーターで行い、カメラ側にはレンズを動かすモーターを持たない)
3新しいマウントで高剛性化、精密化を行い高性能を目指す。
4レンズにもCPUを組み込み、CPU同士(レンズとカメラ)が双方向でデジタル通信で信号をやり取りする



ことにした。来るべきカメラの新時代はエレキの時代と読み切ったのですな。それを実現するためには新しいマウントを採用しないと駄目だと。
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AF時代に入って、従来からの遺産にこだわったニコン。過去を切り捨てて全く新しい規格に切り替えたキャノン。
この判断(だけでもないんですけど)が90年代はじめに大きく明暗を分けることになります。

旧型カメラマウントとAFのボディ内モーターにこだわったニコンに対して、キャノンは新型レンズマウント(電気接点式でマウントの口径自が大きい)を使いレンズ内モーターによるAF(それも超音波モーターで速くて静か)と大口径の望遠レンズの開発に成功します。
オートフォーカスがニコンより速い。プロやハイアマチュアが使う大口径の超望遠レンズ、(特に僕も所有したEF300mmF2.8Lは今で言うなら「神レンズ」でした。写った写真がひと目見て差がわかるのです)でニコンを上回る描写性。

92年のバルセロナオリンピックで象徴的な場面が起こります。アスリートはもちろん、世界中から腕利きの報道カメラマンやスポーツカメラマンが集まるイベントでもあります。
その昔、ニコンが東京オリンピックモデルを出すなど、カメラメーカーにとっても晴れ舞台なのです

当時、ニコンの望遠レンズは「黒」。黒玉なんていいました。一方キャノンの望遠レンズは「白」、白玉です。

カメラマン席からフィールドに向かって全方向から望遠レンズがシャッターチャンスを狙います。その時、「圧倒的に白いキャノンレンズが目立った」のです。

試合の中継映像でも客席と一緒にカメラマン席が映ります。そのシーンで、望遠レンズの砲列が白一色なのを見たニコンの社長のお怒りぶりはそれはそれは強かったとも言われています。


EFマウントの登場からわずか5年。ニコンとキャノンの立場が逆転したことをまざまざと見せつけた瞬間だったとも言えるでしょう。レンズモーターによるAF(ニコンはボディ内モーター)というハンデはニコンを10年以上苦しめました。

(90年当時、カメラが欲しかった新天地は、AFの性能差をみて迷わずキャノンのEOS-5やレンズを買いました。それくらい差が大きかったのです。)
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今までの設計思想を捨て去って、全く新しい組み合わせを実現するために過去のレガシーを捨て去ったことの成功例と言えるでしょう。キャノンが実現するまで、レンズを動かす部分をすべてレンズ内に持ち込むという考え方はなかったんです。あったかも知らなけどやらなかった。
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さて、キャノンのEFマウントは現在でも非常に優れた規格です。当時の先見の明が伺えます。また、ニコンもFマウントは残しつつ、上位互換性を持たせてキャノンをキャッチアップしてきました。口径の差のハンデはありますが、現行カメラとレンズはすべてCPUを内蔵したデジタル通信で動いています。今になればニコンとキャノンの一眼レフのオートフォーカスの性能差は無視できるまでになったかなと。

ところが・・・・。です

後発のパナソニックやソニーは一眼レフよりもいわゆるミラーレスカメラに力をいれてきました。
パナソニック(とオリンパス)は2008年に「マイクロフォーサーズ」規格を策定し、10年間こちらに注力してきました。
またソニーはミノルタから受け継いだ「Aマウント」と並行してミラーレスの「Eマウント」を構築。(Eマウントは2010年発表)
ミラーレス機は、一眼レフのミラーボックスがない分小型軽量化出来ます。薄く作れます。
マイクロフォーサーズやEマウントはミラーボックスが無いことを前提に作られているので、カメラもレンズも小型化しやすいのです。

クリックで拡大。もともと一眼レフのレンズマウントであるFマウントやEFマウントはマウント部から撮像素子までの間に、ミラーボックスがある前提で設計されており、マウントから撮像素子までの距離が長い。一方、マイクロフォーサーズやソニーのEマウントは最初からミラーがない前提で設計されており、マウント部から撮像素子までの距離が短い。たとえEFマウントやFマウントを使ったままミラーレス機を作っても小型化という面で限界があるのだ。


つまりEFマウントやFマウントではカメラの小型化に限界があります。
ミラーボックス前提に構築されたこれらのマウントは、たとえミラーレス機を作っても厚さを一定以下には薄く出来ないのです。
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ミラーレスカメラがシェアを伸ばしても、今まで一眼レフ、(言い換えればキャノンやニコン)には「タイムラグがなくて見やすいファインダー」「一眼レフ方式が可能な位相差方式による優れたオートフォーカス」「過去に発売されたレンズ群というレガシー」というメリットがありました。プロカメラマンが(重くて大きい)一眼レフカメラを使い続けるに十分な理由です。

しかしながら、ファインダーについては、速い読出しのC-MOS,伝達機能、反応速度の速い有機ELファインダーが登場し光学ファインダーに迫りつつあります。さらに有機ELファインダー(EVFともいいます)には撮影情報をリアルタイムに映し出すことがやりやすいなどEVFならではの機能もあります。

オートフォーカスについてもミラーレスカメラでも使用できる像面位相差という方式が急速に精度をあげています。

レンズの豊富さについては、こういうカメラが出来たことで望遠レンズや高倍率ズームレンズの開発、発売も進むでしょう。

一眼レフカメラのアドバンテージは急速になくなりつつあります。
一方でミラーレスカメラには「より小型軽量」「シャッターを切った時のブラックアウト(見えなくなること)がない」「電子シャッターを使うことで、一眼レフでは実現できない連写速度」「ミラーボックス
、さらに電子シャッターオンリーで使えるカメラではシャッターの機械的寿命を考えなくて良い」という無視できない利点が出てきます。
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ソニーのα9の話を書きました。7年間の間に一眼レフからミラーレスにも軸足を移してきたソニーが

「もう一眼レフは終わり。スポーツとか報道とか、結婚式場とか人物撮影するプロカメラマンの皆さん、小型軽量で連写ができてオートフォーカスも早くて、ブラックアウトしないうちのミラーレスカメラ使いませんか?」
「まだそんな重くて、ブラックアウトして、一秒間に10枚程度しか連写できない一眼レフカメラ使ってるの?動画撮影時にファインダー使えないし」

とはっきり宣言したんだと思います。

ニコンもキャノンも、いわゆるレンズ交換式カメラ市場で戦い続ける以上、ミラーレスカメラにもっと重点を移し、なおかつソニーが出してきたα9に歯を食いしばって追いつかなくてはいけない、そんな局面に追い込まれたんだと。いま行かなければ、バルセロナオリンピックよろしく、東京オリンピックではみんなα9シリーズをもっていて、ニコンとキャノンの社長がそれぞれ机を叩くしかなくなるんでは、と。
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さてと
昔なら、ソニーのカメラが馬鹿売れするとか、いう話があったら「タムロン買っとけ」でなんどもボロ儲けができたんだ。
いまはタムロンもカメラレンズ作ってるだけの会社じゃなくなったからなあw

新しいカメラマウントが、世界を席巻するとなればそれなりに大きな売上は見込めるとは思うけど、これがタムロンをどれだけ潤すのかは、鉛筆ナメナメして考えないといかん話。
でも小さくないインパクトをもたらすだろうことは僕でもわかる。




ただ、そもそもいまの一眼レフやミラーレスカメラの市場が大きく伸びそうに無いからねえ。。。
でもニコンやキャノンのシェアを食い荒らすなら、タムロンにとっては大きい気もするしなあ。
詳しい人、計算お願い\(^o^)/





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